西十両11枚目安美錦(40=伊勢ケ浜)が、4場所ぶりの勝ち越しに王手をかけた。新十両の霧馬山に、低い立ち合いの後、右上手を取って下から攻め、最後は上手出し投げ。7勝6敗と白星を先行させた。約30秒の熱戦に「前に、押せないなりに出ていって、止まらないで出ていったのが、よかったんじゃないかな。そのまま落ちて、審判(阿武松審判部長=元関脇益荒雄)に当たっちゃったけど、本当に力を使い切って、動けなかった。こんなに長い相撲を取れるとは思わなかった」と、支度部屋で息を切らしながら語った。

その後、前日21日に引退を発表したマリナーズのイチロー外野手について、自ら話題を切り出した。会見の様子は、生中継ではなかったが、インターネットを通じて視聴。自身も関取衆最年長の40歳だが「イチローもやめちゃって、さみしいというか…。いるのが当然のようだった」と、45歳という数少ない年上のアスリートの最後に、自身を重ねるように話し続けた。「イチローらしい言葉の選び方をしていた。でも、打てなくても最後まで凜(りん)としていた。年齢どうこうよりも、最後までしっかり、誠実に取り組んでいきたい。何も残っていないけど、土俵に上がることができることに感謝したい」と、神妙な面持ちで話していた。すでに6勝目を挙げた時点で、来場所の十両残留は濃厚だが「来場所までの契約だったっけ?」と、冗談めかして話していた。