大関陥落が決まった栃ノ心は「何もできなかった。負けた方が弱いから負けた」と力なく話した。貴景勝に当たり負け、下からの突き押しにあらがったが、最後は棒立ちで土俵を割った。

初心に戻るため、今場所は、昨年初場所の初優勝時に使ったねずみ色の締め込みに戻した。しかし、焦る心は変わらない。大関昇進場所の昨年名古屋で右足親指付け根の靱帯(じんたい)を損傷後、ケガの連鎖に泣いた。先場所直前には右太もも肉離れ。今場所前にスクワットで重さ240キロを上げるまで筋力は戻ったが、土俵で相撲に生かすまでにはならなかった。

来場所10勝で大関に復帰できる。「休みます。しっかり休みます」。大関での5場所で2桁白星もなく、途中休場2度。怪力相撲を取り戻すため、まずは心と体を整理する。