平成最後の新大関の口上はいかに? 大関昇進が確実な関脇貴景勝(22=千賀ノ浦)が26日、東大阪市内の部屋で取材に応じた。27日に行われる夏場所(5月12日、東京・両国国技館)の番付編成会議と臨時理事会を経て、大阪市内のホテルで伝達式へ臨む。前師匠の元貴乃花親方らの伝達式での口上を参考にし、自らの言葉で決意を述べる。

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春の日差しを浴びながら、新たなスタートへの気持ちも高まってきた。東大阪市の最高気温は約20度。取材対応する貴景勝から大粒の汗が噴き出した。「暖かくなったね」。千秋楽から2日。緊張とは程遠い、柔らかな表情を浮かべた。春場所前に大阪入りして1カ月以上がたち、都内で行きつけの店も恋しくなってきた。「おいしいイタリアンがあるんですよ。こっちでもおいしいもの食べてるけど…。ちょっと、東京寂しいね」と笑みがこぼれた。

伝達式で述べる口上は、すでに思い描きつつある。「完全ではないけど、ある程度言いたいことは決まっている。自分が大事にしてきたものを述べられれば」。過去の伝達式の映像もさかのぼって見た。特に印象に残ったのは、前師匠の元貴乃花親方の「不撓(ふとう)不屈」や元大関貴ノ浪の「勇往邁進(まいしん)」、11年に昇進した現平幕琴奨菊の「万理一空」。いずれも四字熟語だった。「やっぱり皆さんの言葉に大変深い意味がある。優劣はつけられない」と、全ての大関への敬意を示した。

胸に刻んできた四字熟語がある。幼少期、父一哉さん(57)から言われ続けた「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」。意味は、目的を果たすまで努力を惜しまないこと。場所前のトークイベントでは「うまくいかないことも多いけど、昔に思い描いた目標を忘れずに信じてやる」と自ら説明していた。いよいよ平成最後の新大関が誕生する。臥薪嘗胆の先につかんだ晴れ舞台で、22歳の決意に注目が集まる。【佐藤礼征】

◆臥薪嘗胆(がしんしょうたん)目的を果たすまで努力を惜しまないこと。