押し相撲の大関は大成しない-。貴景勝はそうした通説を覆す可能性を秘めている。

同じく突き、押しが武器だった八角理事長(元横綱北勝海)は「珍しい大関が誕生した」と、角界の歴史を顧みながら評する。「横綱、大関は相撲の型で言えば、まわしを取って、が多かった。(貴景勝は)一切取らずに押していく。これしかないという気持ちが見える。だからこそ、魅力的で印象的」と期待を寄せた。

貴景勝の身長175センチは、平成以降の新大関26人で最も低い。だが、それを逆手に取り、下から突き上げ、相手がまわしを狙うと体を開く機敏さで白星を積み重ねてきた。審判部の阿武松部長(元関脇益荒雄)も「独特な押し相撲の力士になるんじゃないですか」と、過去に例のないタイプとみる。

春場所千秋楽から一夜明けた25日、横綱白鵬は「押し相撲1本だけじゃなくて、四つになる相撲も覚えた方がいい」と発言した。それに対し、貴景勝は「その通りだと思う」といったんは受け止めた。しかし、この日貴景勝は「もっと長所を伸ばしたい。押し相撲も何種類かある」とこれからも自慢の突き、押しを貫く姿勢を示した。武骨に押し相撲一筋で横綱を狙う。