大相撲夏場所(12日初日、両国国技館)の開幕まで1週間を切った6日、横綱審議委員会による稽古総見が両国国技館で開かれた。やや活気に欠ける内容に「角界のご意見番」の相撲解説者・北の富士勝昭さん(77=元横綱北の富士)のボヤキ節は止まらなかった。

稽古の終盤は、三役以上による申し合い稽古。右上腕を負傷し、夏場所出場が微妙な横綱白鵬(34=宮城野)を除く8人が参加し、大関豪栄道(境川)が9勝2敗で勝率トップ、横綱鶴竜(井筒)が9勝3敗と、33歳の2人は奮闘したが、期待された新大関の貴景勝(22=千賀ノ浦)は3勝8敗と苦戦した。

稽古終了後、北の富士さんは目立った力士として「鶴竜と豪栄道かな」と2人の名前を挙げたが、あとはバッサリ。「あとは、ひと山いくらになっちゃったな」と最初のボヤキ。続けて貴景勝について「もっとねぇ~。時代も(令和に)変わったわけだから、もっと元気にいってほしかったな。朝稽古がコレじゃあなぁ…」と先が思いやられる様子。「オレだってヒマじゃないんだから。もっといい稽古が見たかった」と嘆いた。

稽古全体を通しても「質量ともに全体的に(実りは)ない。新しい年(元号)になって早々にグチャグチャ言いたくないけど、期待して来ただけにガックリだよ」とボヤキ節は止まらない。令和になり「今年は、おとなしくして、しゃべらないと思ったけど、最初からボヤキだな。生きていてもいいことないな。(稽古全体が)シーンとしてて、お通夜だよ。非常におとなしい」と活気のなさを嘆いた。

ウイットに富んだジョークも止まらない。大関高安が、初場所途中で引退した元横綱稀勢の里の荒磯親方と稽古を積んでいることも知っており「稀勢の里に1勝20敗とかだよね。稀勢の里が今場所出れば、おれは優勝候補の一番に挙げるよ」と言ってニヤリ。白鵬の出場については「今日はいいコーチだったね。白鵬が理事長みたい」と前置きした上で「見た感じ、出られないでしょう。でも分からんよ。出てきたら勝つ。1年に3回ぐらい出ればいいんじゃないの? それでも勝つんだから。どこが痛くてもね」と推察。ひとしきり嘆いた後に、あまりのボヤキ節の多さに「あした(日本相撲協会から)呼び出されたりしてな」と笑いながら国技館を引き揚げた。