十両の東西筆頭同士による“中古車対決”で、東の豊ノ島(35=時津風)が、西の勢(32=伊勢ノ海)を破り2勝目を挙げた。

16場所ぶりに復帰した幕内から1場所で陥落し、十両からの出直しとなった豊ノ島。一方の勢は、12年九州場所から連続39場所在位してきた幕内の座から陥落し、久々の十両の土俵。その勢の出足を、一度は立ち合いの踏み込みで止めたが、押し込まれて土俵際へ。だがここで豊ノ島の、自身3番目に多い決まり手で、十八番(おはこ)ともいえる肩透かしで引いて仕留めた。

約5年ぶりの対戦で「久しぶりだったし、同じ昭和(生まれ)の連中とやるのは楽しみにしていた。(逆に)フレッシュな(平成生まれ)方が意識しちゃう」と過去の対戦成績(2勝4敗)も忘れて土俵に上がった。

伝家の宝刀を抜いたが「完全な肩透かしの感覚ではなかったね。どちらかというと、はたきの感覚。全盛時の感覚じゃなかった。昔は、決めようと形を作った時点で決める自信はあった。元気が良かった時に比べると、今はね」と少し照れ気味に笑った。

そんな全盛期と今の自分を「新車と中古車みたい」とたとえた。勢との対戦も「十両ではやったことがなかった(過去6度はいずれも平幕上位での対戦)から、お互いに中古車かな」とニヤリ。ただのシャレでは済まさずに「中古車だけど、改造して味が出る中古車かな」と、今の自分に磨きをかけ渋みを出しながら番付アップを目指す。