大関経験者で東三段目49枚目の照ノ富士(27=伊勢ケ浜)が、土俵復帰2場所目の2番相撲も勝ち、連勝スタートを切った。

同48枚目の春日龍(34=中川)と対戦。約110キロと軽量の相手の当たりを胸で軽く受け止めると、右を差し、左を抱えながら攻勢。何とか打開しようと、春日龍も頭を付け、半時計回りに動いたが、その動きに対応するように、右のかいなを返しながら、さらに深く差し、左も前みつを引きつけながら危なげなく寄り切った。

部屋での稽古でも幕下力士に、当たって横から押させたり、回りながらの出し投げを打ってもらい、動きに対応できるような稽古を積んできた。だからだろう。「普通に対応できたかな。今の動きぐらいなら(今後も)対応できるじゃないかな」と冷静に分析。稽古相手に注文できることにも「関取衆も若い衆も、みんな(助けてくれて)ありがたいことですよ。ちょっとずつ良くなっている」と土俵の結果で恩返しする。

もちろん、大関を張っていた頃の全盛期にはほど遠い。それでも引退を考えたことを思えば「痛みが(膝などに)走るかもしれないから、稽古で『気持ちいい』と思うまでにはならないけど、相撲を取れている時点で気持ちはいい」と5場所連続休場から復帰2場所目に、少しばかり余裕も出てきた。

1番相撲を取った後も話していたが、今の目標は「とりあえず1場所ずつ」。「新弟子の頃から『今年1年の目標』を幕下、関取、三役…と決めていて、それを達成してきた。今年の目標は、それ」と、具体的な目標は定めず、1場所ごとの積み重ねを大切にする。急いて再びアクシデントに見舞われては元も子もない。今は地道に、遠回りでも1歩ずつ、復活の階段を上る。