陥落から再度の幕内復帰を目指す東十両筆頭の豊ノ島(35=時津風)が、連日の十八番(おはこ)を繰り出して連勝。3勝1敗と白星を2つ先行させた。

16場所ぶりの幕内復帰を果たした先場所6日目の対戦では、差し手争いで劣勢になり、たまらず引いて寄り倒された、西十両3枚目の大奄美(26=追手風)との一番。この日は差し手争いで先手をとり、右が入った。左もこじ入れ浅いもろ差し。左を抱えながら窮屈な体勢で寄りたてる大奄美を、間合いを取って下がりながら、体を右に開き右からの肩透かし。これが見事に決まり、前日3日目に続き得意技で仕留めた。

前日は「全盛期の肩透かしに比べれば完全ではない。形を作った時点で決まると(昔は)思ったけど、今日はない」と話していた。この日も理想として「もっと(全盛期の肩透かしは)引き足が速かった。滑らかだったけど、まだ決まり方がバタついている」と自己分析しながらも「タイミングはバッチリ。決まるという感覚もあった」と、まんざらでもなさそう。さらに「もっとねぇ、こう(相手の)方にひっかかる感じで、ひっくり返った相手が、こう、円を描く感じでね」と即席の“相撲教室”を身ぶり手ぶりで開講。終始、笑みを絶やさず「まあ、勝ったから言えるんだけどね」と照れくさそうに振り返っていた。

春場所黒星の反省から「この前は差し負けたからね。でも今日は、差しに行くというより我慢のイメージで行った」とベテランならではの戦略もはまった。自身の決まり手で寄り切り、押し出しに続き3番目に多い、伝家の宝刀の切れ味は健在。いぶし銀の輝きを放ち続ける。