再入幕を目指す東十両筆頭の豊ノ島(35=時津風)が、絶体絶命のピンチをしのぎ3連勝。4勝1敗と白星を3つ先行させた。

西十両2枚目の若隆景(24=荒汐)と対戦。幕下で2度、十両で1度の計3度の対戦で負け知らずに相手だが、125キロの軽量で新入幕を目指す、勢いのある若手だ。立ち合いで軽量を受け止めた豊ノ島だが、厳しく左右からおっつけられ一気に土俵際に追い込まれた。なおも圧力をかけられ、完全にエビ反りの状態に。だが、ここから持ち味が生きる。重い腰で体を反らしながらも残ると反撃に。相手の左腕をはね上げて前に出ると、逆に正面土俵に追い込んだ。最後は投げの打ち合いのようになり、左から小手に振った豊ノ島の右手が、一瞬早く土俵に落ちたように見えたが、その前に若隆景の足が先に出た。決まり手も「寄り切り」。執念でつかんだ4勝目だった。

必死だから最後の勝負を決した場面は分からない。支度部屋に戻っても、報道陣に「オレ、先に(手が)ついてなかった? 決まり手は寄り切り? じゃあ、(相手が先に)足が出てたのか」と逆取材。それでもベテランらしく、自分の体が落ちる前に、目に入った審判の九重親方(元大関千代大海)の手が上がっているのが目に入ったという。「倒れる前に手を上げたのなら(相手の)足だな。それなら…」と確信もあったという。

苦しい2年の幕下生活を経験し、再び関取の座に戻ってから、1場所15日間のとらえ方を見つめ直した。「15日間、(根を)詰めて考えちゃうと気持ちが持たない」と、5日刻みで「前半」「中盤」「後半」と分けて考えるようにした。まずは4勝1敗の「貯金3」で前半を終了。「とりあえず今日が、5日という1つの区切り。一段落ついて、また明日から」と、6日目からリセットして次なる中盤の5日を乗り切る。