西十両10枚目で関取衆最年長の安美錦(40=伊勢ケ浜)が、4連勝で来場所の十両残留を確実とする6勝目を挙げた。

大翔丸との立ち合いは、沈み込むように下から当たると、そのまま頭をつけて前に出続けた。相手のいなしにも対応し、足を止めずに寄り切り。

立ち合いの圧力がある相手だけに「あまり突っ込んでいくよりは、来たのに対して当たっていこうと思っていた。(途中)ひざが怖かったけど、残せる、残せると思いながらやった。あとは止まらずに動けた」と、納得の様子で振り返った。

この日で1796回となった通算出場は、歴代単独3位となった。7日目に並んでいた元関脇寺尾を抜いた。

「まあ、出ただけで抜くからね。まるで、勝ったから抜いたみたいな感じだけど。昨日、テレビ(中継)でやってくれていたのを見て、ちょっとよかったなと思った。あとは切り替えて、今日の一番に集中してできた」と、冷静に話した。

十両の優勝争いでも全勝の貴源治を、豊ノ島とともに2敗で追う展開だ。それでも満身創痍(そうい)の体を見渡しながら「この体だから、勝ち越せるかどうかも分からない。残り全部負けて(幕下に)落ちるかもしれないし」と、気にとめていない様子だ。

それでも6勝目を挙げ、残り全敗でも幕下陥落とはならないと報道陣に指摘されると「落ちたからやめるわけではなく、明日やめるかもしれない。自分の気持ち一つ」と、体の状態が、引退と隣り合わせな状態であることをほのめかした。それでも十両残留が確実となったことには「また、やらなきゃいけないのか」と、言葉とは裏腹に、笑顔を見せていた。