三段目の優勝争いは、今場所初土俵で最下位格付け出し(100枚目)の白石(23=玉ノ井)と西12枚目の北勝川(24=八角)の、7戦全勝同士による千秋楽の優勝決定戦に持ち越された。

まず白石が、全勝対決で北勝翼(18=八角)を突き倒して7勝目。優勝決定戦への進出を決めた。東洋大4年時の昨年12月の全日本選手権でベスト8入りし、付け出し資格を取得。「卒業して実業団に行っても相撲を続けるつもりだったから、それならプロにチャレンジしよう」と角界入り。付け出し資格に恥じない無傷の7連勝で今場所の本割を終えた。視力は0・01と言い、土俵では相手のしぐさなど見えないというが、ひょうひょうとした姿で突き押し、そこからの引き技と自在に取った。「普通にやれば優勝できると思いました。目標は1年以内です」と新十両を見据えた。

その白石が勝った10番後。番付で1段上の幕下力士(霧乃龍=21、陸奥)を相手に、北勝川は突き押しの激しい相撲の末、押し出しで勝ちこちらも7戦全勝。優勝決定戦への切符を手にした。「途中で引きそうになったけど、引いたら負けると思って、下から行けてよかったです。全勝は最高っす。うれしいっすね」と声を弾ませた。先場所は場所前の稽古で右中足骨を骨折。休場したが、本来の力量から「今場所は5番ぐらいかな、と思っていました。体の調子もだんだん良くなって、はたいて勝った4番相撲以外は自分の相撲を取れました」と振り返った。「あと1番、勝てば来場所は上位(幕下)に上がれるぞ」と師匠の八角親方(元横綱北勝海)に声をかけられて臨んだ一番で結果を出した。「来場所、しっかり勝てるように稽古します」。同部屋優勝決定戦こそ実現しなかったが、自己最高位(東幕下31枚目)の更新が確実な来場所に目を向けていた。