関脇栃ノ心(31=春日野)が結びの一番で横綱鶴竜(33=井筒)を破って10勝4敗。05年初場所の栃東以来となる史上5人目の大関陥落翌場所での大関返り咲きを決めた。

生みの苦しみを嫌ほど味わった。10日目に王手をかけてから3連敗。特に前日13日目の朝乃山戦は1度は軍配が上がりながら、もの言いがつき、朝乃山の体が落ちるより「先に栃ノ心の右かかとが出ていた」として、行司差し違えで勝敗がひっくり返った。極めて微妙な判定で「勝ったと思った」と確信しただけに大ショックの結末となった。

この日の朝稽古後は「決まったことは変わらない。自分の(先に引いた)相撲内容が悪いじゃないですか」と気持ちを切り替えたことを強調。夜は普通に眠れたと言い「頑張るしかない。思い切りやるしかない」と残り2日にかける決意を口にしていた。

かど番だった先場所は千秋楽の“大関入れ替え戦”で貴景勝に敗れ、負け越した。再起を期し、春場所後の巡業から場所前まで十分に稽古を積んだ。新大関の昨年名古屋場所で右足親指付け根の靱帯(じんたい)を損傷後は故障の連続に苦しんだが、ようやく体調が安定し、今場所に臨んだ。前半は「大関」「かど番」という重圧がなく、7連勝。まわしをつかむ本来の相撲で順調に白星を伸ばしたが、勝負どころでまたも重圧にもがき苦しみ、何とか結果を手に入れた。