令和最初の本場所で、西前頭8枚目の朝乃山(25=高砂)が初優勝を飾った。近年、押し相撲の若手が台頭する中、王道の四つ相撲で大関豪栄道を寄り切り。12勝2敗とし、直後に1差だった横綱鶴竜が敗れ、昨年初場所の栃ノ心以来となる平幕優勝を決めた。富山県出身としては元横綱太刀山以来103年ぶり、三役経験がなく優勝したのは佐田の山(後の横綱)以来、58年ぶりという記録ずくめ。新時代到来を印象づける優勝となった。

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92年ぶりの珍事は幻に終わった。通常、千秋楽幕内の取組は14日目幕内前半戦の結果を踏まえ審判部の会議で決まる。だが今場所は「好取組を作るために」(阿武松審判部長)、14日目全取組終了後の会議で決めた。「おそらく初めてでは」(関係者)の措置で、仮に優勝決定が千秋楽に持ち越されていれば鶴竜-朝乃山戦を組んでいたと同部長は明言。千秋楽結びの一番が27年初場所以来の横綱-平幕戦になるところだった。今場所は朝乃山を上位に当てる割崩しで優勝争い優先の取組編成だったが、14日目のV決定で千秋楽は無難な番付優先となった。