「令和」最初の場所となった大相撲夏場所で初優勝を果たした西前頭8枚目朝乃山(25=高砂)が千秋楽から一夜明けた27日、都内の部屋で会見を行い、テレビカメラ9台、集まった報道陣70人を前に「15日間いつもの場所と違ってプレッシャーがあったが、その中で戦えていい経験になった」と、感慨深く話した。

入門から3年、所要20場所での優勝。富山県勢では103年ぶりの快挙で、地元では号外も配られた。14日目に優勝が決まると、地元の友人などから400件のメッセージが届いたという。「14日目から連絡が止まらなくて、すごいことをしたんだなと思った」と実感が湧いた。

師匠の高砂親方(元大関朝潮)は「よくやったなと。8枚目で優勝するのは珍しい。コツコツやってきたものが一気に花開いた」と賛辞を惜しまなかった。師匠が今場所の好調を確信したのは初日の魁聖戦。素早く左上手を取って差した右でかいなを返す、盤石な攻めにうなった。周囲の親方衆に「先場所までドキドキしながら(朝乃山の相撲を)見ていたが、今場所は落ちついて見られる」と話していたという。

名古屋場所(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)では番付も大きく上昇し、横綱、大関陣との対戦が予想される。昨年は11勝を挙げて敢闘賞を受賞するなど相性のいい場所。連続優勝の期待が懸かるが、25歳のニューヒーローは「まずは勝ち越しを目指したい」と謙虚な姿勢を見せた。昨年は貴景勝、御嶽海の押し相撲を武器とする若手力士が台頭。「先場所までは押し相撲が目立ったけど、僕は四つ相撲。若手の中では四つ相撲を代表したい」と、自負を語った。

この日は気温30度を超え、汗ばむ中での一夜明け会見となった。師匠は大活躍の弟子に「懸賞いっぱいもらっただろ? 部屋にクーラー買えよ! 俺は今回稼いでないからな」と注文し、報道陣の笑いを誘った。