日本相撲協会は名古屋場所11日目の17日、大関高安(29=田子ノ浦)の休場を発表した。提出された診断書は「左肘関節内側側副靱帯(じんたい)断裂で約1カ月の休養、加療を要する見込み」。大関陣はすでに豪栄道、貴景勝、栃ノ心の3大関が休場しており、高安で4人目。4大関以上の休場は昭和以降初の事態となった。

高安は8日目の玉鷲戦で左肘を負傷。9、10日目と患部にサポーターを巻いて出場した。10日目に明生を下して8勝2敗と勝ち越しを決め、この日は1敗の横綱白鵬と対戦が組まれていた。白鵬は不戦勝となる。

高安の師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は「痛めた時は“何とか(相撲を)とれる”と言っていたが、昨日も土俵下で痛がって。そういうタイプじゃないし、残念ですが、来場所も考えて」と話した。休場は前日夜に話をし、この日朝の様子を見て決めた。患部の状態を「動かすと痛みがあり、力が入らないようです」と説明。「体も動いていたし、調子も上がって来ていた。ファンのことも考えても残念。きょうも元気ならおもしろかったのに」と話した。

名古屋場所担当部長の出羽海親方(元前頭小城ノ花)は休場の報に「大関がいなくなったということですか。残念だけど、ケガだから仕方ない。優勝争いしていて、本人が一番悔しいでしょう。今日(の相手)が白鵬で、鶴竜(戦)も残っていたから、直接対決で(優勝の)チャンスはあったわけだから」。また「お客さんは楽しみにしていたでしょうから(申し訳ない)。(優勝は)横綱2人に絞られたかな。本当に残念だけど、横綱に頑張ってもらって千秋楽まで優勝争いしてくれれば」と話した。

審判部長代行の境川親方(元小結両国)は、4大関休場の中に、弟子の豪栄道もおり「本当に申し訳ない」と頭を下げた。場所終盤の取組の編成が難しくなる中、割を崩して、星の上がっている番付下位力士を横綱に当てる可能性を問われて「当然そういう声も出てくるでしょう」と否定せず。「(番付の)下で勝って、上と当ててもらうのはありがたいこと。ウチの妙義龍(東前頭7枚目、10日目を終えて8勝2敗)も勝ち越したし、いいんじゃないかな」と話した。