東十両12枚目貴ノ富士(22=千賀ノ浦)が、十両3場所目で初の勝ち越しを決めた。

東十両9枚目水戸龍との1分を超える一番を制して8勝3敗。差し手争いに敗れたが、巻き替えて左四つとし、盤石の形で寄り切った。「体力では負けるのでスタミナで勝負した。長い相撲になっても諦めなかった」と、タフさで上回った。

付け人を務める兄弟子の協力もあり、ベストな締め込みのフィット感を見いだした。勝ちと負けを繰り返す「ヌケヌケ」だった序盤戦、締め込みの感覚に違和感を覚えていた。

「動きやすさとか、股関節の感覚。自分の場合は性格的なところもあるかもしれないけど、1ミリが10センチくらいの差に感じる」と、繊細な一面もあり、集中しきれない部分があった。

そこで付け人の兄弟子、舛東欧(33)と相談。問題を1人で抱え込まず「兄弟子としゃべって相談しているうちに改善できた」と、最も締め込みが“決まる”感覚を分かってきたという。

中盤戦に入った5日目以降は6勝1敗。「兄弟子のおかげで、自分の相撲を取ることだけに集中できている」と感謝した。

「(十両の)下の方だから最初は星勘定を意識していたけど、途中から優勝したいと思えてきた」。十両は2敗が剣翔1人、3敗が貴ノ富士ら3人。優勝争いが混沌とする中で、意欲を見せた。