終盤の13日目に本来なら大関戦を控える横綱が、平幕と取る。白鵬は対戦20回目の妙義龍、鶴竜は初顔の友風。確かに鶴竜はやりづらかったろう。それにしても情けない負け方だった。なんで、あんなはたきを食うのか。今場所の鶴竜の相撲は、立ち合いでアゴを引いて右のまわしを取り相手の出足を止めてから…という流れだった。なのに頭が低すぎた。下げすぎた頭を押さえられたまま出たもんだから、簡単に引き技を食ってしまった。引く者は引きに弱い、とよく言われるが鶴竜にもあてはまってしまった。

一方、今場所の白鵬は粗い相撲が多い印象だが、反射神経の良さで勝っている。これは鶴竜にはない。さらに9日目に負けたが11日目には不戦勝もあった白鵬に、風は吹いているように思う。13日目を終え鶴竜が1差リードでやっと状況はイーブンと思っていたが、並んだことで白鵬有利のような気がする。(日刊スポーツ評論家・高砂浦五郎=元大関朝潮)