大相撲夏巡業が28日、岐阜市で始まり、横綱白鵬(34=宮城野)が、横綱のDNAを持つ十両琴ノ若(21=佐渡ケ嶽)に稽古をつけた。十両のぶつかり稽古で約4分間、祖父に元横綱琴桜、父に佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)を持つサラブレッドに胸を出し「白鵬杯にも出ていて小さいときから知っている。私もお父さんと対戦したことがあるので(稽古を)つけてやろうかなという気持ちになった」と、感慨深そうに話した。

埼玉栄高出身の琴ノ若は、新十両だった名古屋場所で勝ち越すなど期待の若手。189センチ、153キロの圧力を受け止めて白鵬は「重さがあった。懐の深さが(父に)似ているね」と懐かしんだ。秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)に向けた調整だけでなく、若手力士の育成も念頭に置く今回の巡業。「角界への一つの恩返しだね、下の世代を育てるというのは」。

横綱の胸を借りた琴ノ若は「すごい、それしかない。なんて言えばいいのか分からない」と表現に苦しむほど感情を高ぶらせた。「(横綱の胸は)もちろん重いし、力の入れ方を知っている。吸収されるような感じだった」と、興奮気味に語った。