大相撲の横綱白鵬(34=宮城野)が、「土俵の鬼」の故郷で大技を試した。14日、青森・板柳町で行われた夏巡業に参加。

この日から相撲を取る稽古を再開させ、三番稽古では前頭琴恵光を相手に6番取って全勝だった。3番目には初代横綱若乃花の得意技「呼び戻し」を披露。豪快に琴恵光を転がすと、集まった約2000人のファンから拍手と歓声が巻き起こった。「呼び戻しと言えば青森。初代若乃花といえば呼び戻しですから」。初代若乃花は青森・弘前市出身。会場は弘前駅から車で約30分とほど近いだけに「『地元にきた』と縁があることを感じられるからね」と意識していた。

巡業初日からすり足などの基礎運動で体を動かし、相手を前に立たせて立ち合いの確認も行ってきた。久しぶりの実戦に「いい感じでできた。番数は少なかったけどいい汗をかけました」と感触の良さを口にした。

琴恵光を指名した理由については「今まであまり稽古をつけていなかったから」と説明。幕内で2場所連続で勝ち越し中と、勢いに乗る相手を「小さいけど右四つ身にそれなりの完成(度)があったかな」と評価した。

その琴恵光は「初めてだったけど、自分の体勢になってもなかなか前に出られなかった」と、力の差を感じた。もろ差しで土俵際まで寄る場面もあったが、簡単につり上げられて形勢逆転。6番目で土俵の外に投げられた際に首を痛め、稽古が中断するなど力を発揮できなかった。三役を目標に掲げる27歳は「(もろ差しから)押せる気がしなかった。重い。力が伝わらなかったけど、(こういう機会は)ありがたい」と感謝した。