「関取最年長」の座が回ってきても、若々しさは忘れない-。16年初場所以来の幕内勝ち越しを目指す、西前頭14枚目の豊ノ島(36=時津風)が、通算27度目の対戦となった栃煌山(32=春日野)との一番を落とし、1勝4敗となった。

立ち合いで左が入り、右も巻き替えて得意のもろ差し。だが、その右を強烈な腕力で絞られ苦しい体勢に。さらに小手で振られ体をクルッと回され一瞬、後ろ向きに。体を寄せられ、そのまま押し出された。

「左は十分だったけど、右がもう一入りできたらね。(勝負を分けたのは)あそこ。入れば勝てたけど、入りきらなかった。今日も紙一重だったな」。立ち合いから二本を入れた流れに問題はない。ただ、あと一差しできたか、できなかったで明暗は分かれた。

取組前に、現役関取最年長だった十両嘉風(37)の引退が発表された。今年初場所の番付発表時点で、自分より年上だった(年齢の順に)安美錦、豪風、そして嘉風が引退し、最年長関取に押し上げられた。嘉風の引退については「ずっと同じ年代に土俵で戦った人。素直に寂しい」と惜別の言葉をかけ、自身が最年長関取になったことについても言及。「最年長というのは受け継がれるもの。自分が若いときは(その時の最年長関取を)見ていて『若いな』と思っていた。自分も『オジサン』でなく、そう思われるように取りたい」と自分を奮い立たせるように話した。現状は1勝4敗と苦境に立つが、総じてベテラン力士というのは「共通しているのは勝ち負けより、自分の納得する相撲を一番一番、取る中で白星をもぎ取っているイメージがある。勝ち負けを意識すると気持ちが下がるから、自分も明日から切り替えてやりますよ」と吹っ切れた表情で話した。