関脇御嶽海(26=出羽海)が平幕の正代を押し出しで下し、1敗をキープした。

立ち合い押し込まれてから、地力を発揮して逆転勝ちだ。白鵬休場、鶴竜3連敗と両横綱が崩れ、不透明な優勝争いの中、2日目から6連勝。「まだ全然」と言うが、8日目は貴景勝戦。勝てば、一気に“場所の主役”も交代、2度目の賜杯に接近する。

土俵際で回り込む正代を、御嶽海が追った。詰めを誤らず押し出した。

「冷静に取れてましたね。立ち合いは完璧に起こされちゃったけど、手が伸びていたから良かった」

合口は過去8勝7敗とほぼ五分。「大学時代から知ってる相手。一方的に勝つか、やられるか。初手が大事」と気をつけた初手をミスした。それでも、勝つ。

幕内後半の審判長・藤島親方(元大関武双山)が少し不満げに言った。「相撲センスはピカイチ。だけど、惜しいね。たいした稽古もしてないのに、あの相撲がとれる。首根っこ捕まえて稽古をやらせたら、どこまで強くなるか。勝負度胸もいいし」-。周囲から“場所相撲”と呼ばれる男は、やっぱり本場所で強い。

昨年名古屋場所で初優勝し、三役は歴代2位の連続16場所目。2度目の賜杯を手にすれば、大関の座は急接近する。今場所は白鵬が休場、鶴竜が3連敗…。2敗の豪栄道を除き大関以上は総崩れで、絶好のチャンス到来だが「主役? いっぱいいるじゃん?」とマイペースを崩さない。

御嶽海が今場所の主役に推すのは大関復帰を狙う貴景勝で、8日目が大一番。勝てば、嫌でもV戦線の“主役”になる。