付け入るスキのない御嶽海の相撲だった。立ち合いから正代の攻めに後退したが、体勢に余裕があったし相手がよく見えていた。そこから突き放し、押しに徹して自分優位に持ち込み、勝機を逃さず右からのおっつけを効かせた。左ものど輪押しで、まわしには目もくれない盤石の相撲だ。初日、朝乃山にまわしを取られて負けたことで、まわしを取られては勝てない、と本来の突き押しに徹しているのが、いいリズムを生んでいる。

スピードも勝負どころを見抜く勝負勘も、相撲センスは一流だ。ただ本当に大関を目指すなら、やはり稽古をもっと積まないと駄目だ。3場所連続2ケタを勝つには好調を半年、持続させないといけない。求められるのは本場所以外の稽古量だ。まあその話は場所後のこととして、ここは優勝経験者の貫禄で2度目の賜杯を狙うつもりで臨めばいいと思う。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)