かど番大関栃ノ心(31=春日野)がなりふり構わず4勝目をもぎ取った。直接対決で3連敗していた遠藤を、立ち合いで右に動いてはたき込んだ。

本人に変化の意識はなかった。「どうでした? 気づいたら(遠藤が)落ちてたから」。低く当たられて前みつを許す負けパターン。大関復帰を決めた夏場所も10日目に上手出し投げで負けた。土俵で右膝をしたたかに打ち付け、先場所途中休場の遠因にもなった。「最初から決めていた。いつも左からいって、やられている。だから右からいこうと思った」と苦肉の策を振り返った。

古傷を抱える右膝、夏場所で痛めた左肩の影響で、体調万全とはいかず、右四つからの怪力相撲に持ち込めない。「9日目なのに、まわし取って勝ったの(3日目の)北勝富士だけじゃない?」と寂しそうだが「一番大事なのは乗り越えることや、何とか!」と自分に言い聞かせる。今場所初の連勝で、勝ち越しまであと4勝となった。