両横綱が不在、大関陣も不振の中、ここまで平幕下位の2人が優勝争いを盛り上げている。隠岐の海は最後まで左が入らなかったことで流れがつかめず、初黒星を喫した。左を差す上で大事なのは右の使い方だが上背のある竜電だけに引っ張り込めなかった。ただ、負けても連勝が止まっただけのこと。先頭に立っていることに変わりはないのだから、自信を持って臨んでほしい。

面白いのは1敗で並んだ明生だ。基本は突き押し相撲だが、四つでも取れる。体の入れ替えがうまく、押されても体を開いての突きにも切れがある。動きも良く、あの琴奨菊をがぶって攻めきれる馬力も24歳の魅力だ。はね返されたが先場所、上位を経験した自信も大きい。1差で追う2敗の上位3人はみな優勝経験者。白鵬不在の場所で、また初優勝力士が出るかもしれない。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)