大相撲の元関脇逆鉾の井筒親方(本名福薗好昭=ふくぞの・よしあき)が16日、都内の病院で死去した。58歳だった。鹿児島県出身。関係者によると、死因は膵臓(すいぞう)がんとみられる。弟の元関脇寺尾(現在の錣山親方)、兄の元十両鶴嶺山とともに「井筒3兄弟」と呼ばれ、もろ差しの名人として知られた。引退後は、師匠として横綱鶴竜らを育てた。通夜、告別式などの日程は未定。

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錣山親方は17日朝、東京・両国国技館で木戸番を務めた後で取材に対応。悲しみをこらえながら、兄への思いを語った。

-今の気持ちは

錣山親方 1番上の兄貴(元十両鶴嶺山)と俺と井筒(親方)と昨日3人で一緒になったけど、1番上の兄貴と私の気持ちは「よく頑張ったな」と。相撲が好きだったから、何か場所中に。ウチの母親(が亡くなったの)も場所中だったんだけど。

-どんな兄だった

錣山親方 しょっちゅうけんかばっかりしてたよ、ちっちゃい頃から。「ちび2人」と言われて育ったんだよ。1番上の兄貴はちょっと年上だったんで別格扱いで。ま、井筒からしたら年は1個上なのに「ちび2人」っていうのはきつかったと思うけど。ほんと、しょっちゅうけんかしてましたね。

-どういう存在だったか

錣山親方 やっぱり兄弟なんだよね、基本的には。ま、俺ら3人の自慢と言ったら、おやじとおふくろの子どもで生まれてきたこと。それが一番の自慢だと思うけど、井筒は一番最初におふくろとおやじの元に戻ったんかな。そう思うとね、気持ちも少し楽になる。

-昨日は3人で長く過ごせたのか

錣山親方 そんなことないですよ。もう、その前に会ってるんで。でも、ほんとよく頑張ったですよ。頑張ったねえ…。

-最後の会話はいつ

錣山親方 それは別にいいでしょ。最期まで顔を見れていたのが幸せだった。俺ら兄弟3人、両親の死に目に立ち会えてないんで。3人で両親を見送りたかったというのはあったけど、でも、1番上の兄貴と2人で(井筒親方を)見送れたってのは…。

-これからお兄さんの分も背負っていく

錣山親方 いや、背負うとか、ねえ。井筒は横綱育てた。背負うとかそんなんじゃない。やっぱり俺ら相撲一家で生まれて、相撲で飯食わしてもらって、相撲で多分終わっていくと思う。それだけです。だから、相撲協会に恩返し、井筒ができなかった分も少しでも協会にプラスになるように、汗かくしかないんじゃないですか。