西前頭2枚目の朝乃山(25=高砂)が、上位総当たり2場所目で、初の勝ち越しを決めた。

初顔合わせの前頭志摩ノ海を、わずか3秒5で寄り切り。左上手を引きつける必勝パターンに持ち込む前に、右を差して圧力をかけてすぐに決着をつけた。5月夏場所で初優勝。だが前頭筆頭で初の上位総当たりとなった、7月名古屋場所は7勝8敗だった。「先場所で悔しい思いをしたので」。初金星を含む横綱、大関陣総なめでの勝ち越しをかみしめた。

この日、同じ富山市出身のバスケットボール日本代表馬場雄大が、NBAマーベリックスからオファーを受け、渡米すると発表された。NBAウィザーズからドラフト1巡目指名を受けた八村塁も富山県出身。この日の取組後、朝乃山は「同じ富山のアスリートとして負けたくない。2人がいい刺激になっている」と、飾らずに話した。

角界の同世代のライバルも舌を巻く強さだ。前日9日目に劣勢から逆転で破った小結阿炎は「朝乃山は神がかってきた。一線を越えた強さがある」と語った。優勝争いでトップに並ぶ、同じ2敗の御嶽海、貴景勝の両関脇も実力は認めるところ。当の朝乃山は「負けてもいいから自分の相撲を取る」と堂々。新三役の資格は十分だ。【高田文太】