大関経験者で序二段まで陥落後、順調に番付を上げてきた東幕下27枚目の照ノ富士(27=伊勢ケ浜)が、土つかずの連勝を「6」に伸ばした。13日目に予想される残る一番に、7戦全勝優勝をかける。

5戦全勝同士の対戦相手は、西幕下7枚目の千代鳳(26=九重)。14年夏場所では新三役の小結を経験したが、度重なる膝などのケガで、昨年初場所から幕下以下に陥落。一時は三段目まで番付を落としていたが徐々に番付を上げ、あと2番勝っての7戦全勝なら2年ぶりの関取復帰が確実になるところだった。

そんな千代鳳の気合十分な心中を「最初の仕切りから走る感じで、ガムシャラに出てくるかなと思った」と察しての一番は、立ち合いは五分の踏み込みで左を抱える形で頭をつけられた。さらに左も巻き替えられ、もろ差しの体勢で東土俵へ。両足かかとが俵にかかった瀬戸際で、何とか左に回り込みながらしのいだが、さらに右からの上手投げを打たれ、前のめりになるピンチに立たされた。

「向こうにつられて一瞬、熱くなりそうになったところがあった」と振り返ったのは、この劣勢のあたりのことだったろう。そこを「自分で『ハーッ』と呼吸して落ち着こうとした。あのままガーッと気合を入れてたら冷静に対応できなかったと思う」と組止めることに意識を集中。相手の右上手が肩越しになり、さらに1枚まわしで伸び切ったところで、かいなを返しながら起こし、寄り立てた。最後は相手の左腕を小手に巻いてきめながらそのまま、きめ倒した。

千代鳳とは13年秋場所から14年九州場所にかけて、十両で2度(1勝1敗)、幕内で2度(2戦全勝)対戦。「昔から何回も対戦して、年も近いし三役も経験して上位で取っていた人。稽古も一緒にやって、お互いケガで落ちていて、どっちももう1回(関取に)上がろうとしている」と境遇が似たもの同士、分かり合えるものがある。だからこそ「気を抜いたら勝てない相手」と頭は冷静を保ちつつ、心は燃やしながらの6番相撲だった。

幕下の残る6戦全勝力士は、やはりケガで関取の座を追われ、今場所から土俵復帰した西幕下46枚目の千代の国(29=九重)。13日目に優勝をかけた一番が確実視される。

やはり前頭筆頭の経験者で、過去は十両、幕内で1度ずつ対戦経験がある。十両では千代の国が勝ち、幕内では大関として照ノ富士が最高位で臨んだ相手の挑戦を退けている。勝てば来場所は幕下5枚目前後が予想され、関取復帰挑戦場所になる。敗れれば10枚目あたりまでしか上がりそうになく、再十両には全勝が求められそう。

そんな大一番を前に「変なことは考えないで自分の相撲を取りきって締めたい」と平静を言い聞かせていた。