優勝経験のある2敗の3人が明暗を分けた。

貴景勝は相撲に流れがあり攻めきっている。流れの中で四つになったが勝負どころの反応もいい。土俵だまりで控えの座布団に、手を添えることなくドッシリと座る姿から膝も全く問題ない。誰もが「あと1つの壁」に苦しむが、早めに10勝に乗せ最大の目標=大関復帰を決めれば気が楽になって、さらに勢いが増すだろう。

対照的に御嶽海は、思い切りいっているつもりでも体がついていっていない。勝ちを拾った10日目の玉鷲戦もそうだ。星を落とせないと気持ちが守りに入っているように見える。

朝乃山はアゴが上がったのが敗因。下半身に比べ上体の力が少し弱いから前傾姿勢がとれずアゴが上がる。立ち合いを含め課題だろう。2敗の明生は攻めきる姿勢が貴景勝と共通している。優勝決定戦はある、ぐらいの強い気持ちで臨んでほしい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)