西前頭8枚目宝富士(32=伊勢ケ浜)が炎鵬を下し、優勝争いトップと1差の3敗を守った。大ブレーク中の小兵との初顔合わせ。動き回る相手に慌てず、足取りに来たところを上手ひねりでつぶした。

「土俵で見て、予想以上のちっちゃさだった。あの体勢(土俵に落ちても)になっても足を離さず、力が入ってた。根性、すごいですよ」。白星に喜びながら、相手をたたえる。

この日の朝稽古で、部屋の安治川親方(元関脇安美錦)から「絶対に中に入られるな。どうせ入られるだろうけど」と辛口? の助言を受けた。「それを聞いて“絶対に入れるか”と思いました」と笑う。

16年名古屋場所以来となる幕内4度目の2桁白星にも王手がかかった。それどころか、2敗の貴景勝の今後次第で初優勝の可能性だってある。「あんまりこういうチャンスはないんで。でも、そこはあんまり考えずに」と言いながらも「あと3日か…そうしたら、何かいいことあるかもしれない」。人の良さそうな笑顔から、思わず本音がこぼれ出た。