大相撲の千賀ノ浦親方(58=元小結隆三杉)が、2度の暴力を振るって引退した弟子の十両貴ノ富士(22)から謝罪を受けたことを明かした。

貴ノ富士の引退届が提出、受理された前日11日から一夜明けた12日、都内の部屋で稽古を指導後「昨日の夜7時ごろ、貴ノ富士から電話がありました。『引退届を出しました』という連絡と『ご迷惑をおかけしました。電話などに出ず、すみませんでした』と言っていました」と説明した。これを受けて、同親方は「引退届を出して、よかったと思っているよ。また電話するからな」などと返し、2、3分ほど会話したという。

貴ノ富士は昨年3月の春場所中に続き、今年8月31日にも別の付け人に暴力を振るい、日本相撲協会から自主引退を促されていた。これに対し、師匠に無断で開いた会見で「受け入れられません」と主張。その後は師匠からの電話に出ず、代理人弁護士を通じて連絡を入れないよう要望し、師弟の意思疎通はなかった。引退は避けられないと感じていた千賀ノ浦親方は、常々、退職金などが支払われる自主引退を受け入れ、懲戒解雇にならない道を希望していた。

貴ノ富士が滞在しているマンションを訪れても会えず、心配していた同親方は「連絡がきて安心した。よかった」と話した。2度目の暴力で被害に遭った序二段力士を含む、巡業に付け人として同行していない若い衆を集め、前夜に引退届が提出されたことも説明したという。断髪式については、前夜の電話で貴ノ富士とは話していないといい「いろいろ話を聞いてみて」と、本人の意向次第で実施する可能性を否定しなかった。第2の人生に向けては「きちっと考える時間も必要」と、慌てずに決めることを望んでいた。

今後については「A(被害者力士)も元気にやっている。とにかく見ていかないと。これからは、みんなで話し合う回数を増やして『何かないか』とか、1人1人まめに聞いていかないといけない」と話し、再発防止への決意も新たにしていた。