大相撲の横綱白鵬(34=宮城野)が、9月に日本国籍取得後、初白星&初優勝へ“予行演習”を行った。4日、福岡・篠栗町の部屋で、出稽古に訪れた関取衆4人を返り討ち。小結阿炎に9連勝すると、その後は十両彩、若元春、前頭若隆景の順に2番ずつ取り、計15番で全勝だった。西横綱は初日に東小結と対戦が組まれることが多く、九州場所(10日初日、福岡国際センター)初日は阿炎戦が最有力。その相手を圧倒して日本人初白星、さらに15連勝で日本人初優勝のイメージをふくらませた格好だ。

右四つからの寄りや、得意とは逆の左四つからの投げ、タイミングの良い引きなど多彩に攻めた。白鵬は「流れの中の相撲もあったし、一気の相撲もあった。手応えはあったかな」と胸を張り、相撲勘に狂いはない。秋場所は初日に敗れ、2日目から右手小指骨折で休場。同場所前に日本国籍を取得したが、日本人初白星はお預けのままだった。

白鵬と阿炎は前日3日、互いの部屋からほど近い寺院の行事に参加した。その場で白鵬が阿炎に、出稽古に来るようリクエストし、この日の稽古が実現。阿炎のことは「三役で勝ち越している実力者」と認めている。ぬかりない準備が「日本人初」への思いの強さをにじませた。【高田文太】