大関経験者で、番付を序二段まで落として以降、4場所連続勝ち越しで順調に関取復帰の道を歩む西幕下10枚目の照ノ富士(27=伊勢ケ浜)が、東幕下14枚目の荒篤山(25=荒汐)と2連勝同士で対戦。送り出しで勝ち無傷の3連勝とした。

突き押しで攻める相手に距離をとって応戦。左からのいなし、頭を押さえられての引き、再び左からの突きで時計回りに大きな体を回されたが、落ち着いていた。なおも突き放しで攻める荒篤山の右腕を、グイと左手ではね上げると相手は横向きに。すかさず左腕を伸ばし、相手のまわしの結び目あたりをつかみ、勢いそのままに後ろを向かせたまま送り出した。

初対戦の相手の取り口は「ビデオで見るぐらい」(照ノ富士)だが、それで十分。「押されることは、まずないと思ったから自信を持って行った。普通に落ち着いて下から、下からという感覚で取りました」と振り返った。いなされて崩された場面も「まだ余裕は、ちょっとありました」という。

手術までした両膝、内臓疾患もあり体調管理には気を払う。5日目から急激に気温が下がった福岡地方の気候も“大敵”だが、その寒さも「大丈夫。やれることをやってきたので自信を持ってやるだけ」と話す。

幕下以下の対戦相手は、基本的に相星同士で星のつぶし合いをさせ優勝が決まる。これで3連勝となり優勝争い、さらには7戦全勝での関取復帰に、相手は絞られてくる。ストレート勝ち越しをかけた4番相撲の相手は、自分より番付が上で1人だけ3連勝の西幕下7枚目の芝(27=木瀬)が有力。その山を越えれば、以降は番付下位が相手になり今場所後の再十両は現実味を帯びてくる。だが、そんな色気が入る余地は今の照ノ富士にはない。今場所、何度か口にしている言葉を繰り返すように、今場所で再十両を決める気持ちは「ないです」と即答。「できたらうれしいけど、できなかったら来場所という感覚で臨んでますから」と続けた。そう話す表情からも油断が入るスキはなさそう。1番1番を積み重ねた末の「果報」を待つだけだ。