押し相撲同士の一番は、押し負けしなかった貴景勝が勝った。北勝富士を常に自分の体の正面に置いて、ドッシリと対処していた。押しながらもバランスを崩しバタバタしていた北勝富士とは、足腰の強さに違いがあった。

この3連勝は内容も良く、自分のペースで取り切っている。先場所は千秋楽で負傷し秋巡業は途中参加したが、前半に出られなかった分、相撲勘の鈍さというものが出る。間に合わせの調整で場所に入ったから6日目までは自分の相撲を取り切れていなかったが、この3連勝で取り戻しつつある。このままいけば千秋楽結びの一番は白鵬戦。それまでに白鵬に取りこぼしがあり、貴景勝が全勝でいけば1差でその一番を迎えられる。最終盤に横綱戦を控える大関は、自分の成績にかかわらず優勝争いを盛り上げるという重責も担う。休場者続出の場所を、何とか締めて欲しい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)