現役最年長関取の西十両8枚目豊ノ島(36=時津風)が4連敗を喫し、星は5勝6敗で今場所初めて黒星が先行してしまった。

ある意味、感慨深い対戦だった。相手は元横綱朝青龍のおいで、同13枚目の新十両豊昇龍(20=立浪)。おじ譲りの強靱(きょうじん)な足腰で122キロの軽量ながら、序ノ口から所要10場所で関取の座を射止めたモンゴル出身の若武者相手に、左を深く差したが右からの攻め手に欠き、逆に右からの上手投げで転がされた。

おじの朝青龍とは、いずれも横綱時代に9度対戦。初顔合わせの時から、その威圧感に「土俵下の控えから大きく見えて『こえー(怖い)』と思った」と圧倒されながら2勝を挙げていた。最後の9度目の対戦から約10年の歳月がたち、その血筋を引く、おいっ子と対戦。肌を合わせて「横綱と比べれば、まだまだ細いけど、似てるなと思った。体感も強いし懐も深い。投げも思い切りがあったし。関取同士で対戦できて、うれしかった」と柔和な表情で振り返った。

負けたことには「歯がゆさはある」と正直な胸の内を明かす一方で「(実父との対戦もある)琴ノ若といい、こうゆう若手とこれからも対戦したいよね。まだまだ若手には負けられない。そのためには、自分も番付を上げて彼らと対戦できるところ(番付)にいないといけない」と発奮材料に変えた。「今日は相手に勉強させるよう相撲をとらないといけなかったのに、自分が勉強させられた。もう1回(豊昇龍と)やりたい。明日から気持ちを切り替えて勝ち越しを目指します」。この日の黒星を決して無にはしない。