平成の大横綱が、令和の大相撲にも新たな1ページを刻んだ。横綱白鵬(34=宮城野)が史上最多を更新する43度目の優勝を飾った。

2差で追っていた平幕の正代が敗れ、小結朝乃山は3敗を守ったが、自身は関脇御嶽海を外掛けで下して13勝目として、勝利で決めた。新元号「令和」で、そして9月に日本国籍を取得後初めての優勝。34歳8カ月での優勝は、年6場所制となった58年以降では4位の年長記録となった。

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関取昇進時から白鵬の大銀杏(おおいちょう)を担当していた床蜂が8月に定年を迎え、秋場所から担当は床幸(とこゆき、51=友綱)に代わった。同じ伊勢ケ浜一門で、白鵬が大関だった08年の夏巡業に担当したことがあるが、横綱は初めて。8月の夏巡業で床蜂から任命された。「光栄です。床山みんなが目標にしていると思うので」。支度部屋での準備運動では張り詰めた雰囲気を醸し出す横綱は、普段の会話では「気さくな方」。会場を出る時間は2時間以上遅くなったが、それ以上の充実感があるという。

おじにあたる先々代大島親方の元大関旭国に誘われて、83年に入門した。床山生活で一番の思い出は、当時大銀杏を結っていた元関脇旭天鵬(現友綱親方)が、12年夏場所で史上最年長での優勝を果たしたとき。「あのときは感動した。これからも楽しみです」。史上最多の優勝回数を誇る希代の横綱と歩む今後に、胸を躍らせていた。