大相撲の新関脇朝乃山(25=高砂)が5日、都内の田子ノ浦部屋に初めて出稽古に行き、元横綱稀勢の里の荒磯親方と三番稽古を行った。けんか四つの荒磯親方から、徹底的に右を封じられるなど1勝16敗。「横綱が引退して初めて稽古をつけてもらった。これからの相撲人生につながります」と有り難がった。

1年前に現役を引退した元横綱に、何もさせてもらえなかった。荒磯親方の強烈な左のおっつけに耐えきれず、右を差すどころか、何度も右腕を上げられて右脇ががら空きになった。それならばと左を差して前に出るが、土俵際での逆転のすくい投げや突き落としで転がされた。稽古終盤になると、涼しい表情の荒磯親方に対して、荒い息で肩を上下させた。

稽古を振り返り「(右を)差しても負けることは多いけど、差せずに負けるということはめったになかった。悔しかった」と、これまでに経験のない負け方が続き唇をかんだ。「相撲を取りながら『全然甘くないぞ』と伝わされたと思う。まだまだ弱い部分がたくさんあった。出直してきます」と話した。

6日には横綱審議委員会による稽古総見が行われ、12日に初場所(東京・両国国技館)初日を迎える。「2桁勝利して優勝したい。自分の相撲を取りきっていいスタートを切りたい。横綱(荒磯親方)とは本場所で当たらないけど、勝って白星を届けるのが恩返しだと思う」と意気込んだ。