大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が小結阿炎を押し出し、1敗を守った。

昨年秋場所千秋楽に負った左大胸筋がさらに回復し、横の動きへの手応えを口にした。6連勝していた平幕の正代が今場所初黒星を喫し、5人が1敗で並ぶ混戦になった。

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腕の短い貴景勝が、リーチで上回る阿炎に勝った。「同じ突き、押しでも距離感が違うし、向こうも実力者」と認める相手を下したポイントは、左腕でのいなしだった。相手を横向きにさせ、一気に有利な体勢に持っていく。この1発で、白星をたぐり寄せた。

胸に負担がかかる左腕の動きが、ケガの回復を証明していた。昨年秋場所千秋楽、御嶽海との優勝決定戦で大胸筋肉離れ。あれから100日以上が経過し、「胸の状態もだいぶ良くなってきた。横、前後の攻撃をバランスよく出していける。場所前に横の動きを含めて準備がクリアできている」と状態の良さを口にした。

1敗で並ぶ5人のうち、貴景勝が番付最上位で、ただ1人の優勝経験者。「7日目までの成績なんて、何のあてにもならない。15日間の勝負だから。7日間のスタミナと、15日間のスタミナはまったく違う」。経験をもとに、初場所全体を俯瞰(ふかん)した。

「しっかりご飯を食べて、しっかり睡眠を取って。準備はしっかりやっていこうと思います」。中日折り返しを前に、気持ちをどう持っていけばいいか、貴景勝は知っている。【佐々木一郎】