第2の故郷で憧れの地位を射止める。日本相撲協会が24日、春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付を発表。大関とりに挑む関脇朝乃山(25=高砂)は、大阪市内の宿舎で会見し、大関昇進へ意気込んだ。

近大出身の朝乃山にとって大阪は準ご当地。82年初場所の琴風以来、38年ぶりに貴景勝の1人大関となる春場所で、夢見てきた地位を狙う。

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大関とりに挑む朝乃山は、いつもと変わらないすがすがしい表情を浮かべた。「大関はプロに入ってずっと夢でした。1つ空いているのはチャンスだからものにしたい」。新小結だった昨年九州場所は11勝、新関脇だった初場所は10勝で、春場所で12勝を挙げれば大関昇進の目安「三役で3場所33勝」に到達する。「自分の相撲を取りきることだけを考えたい。12勝ではなくて、その上を目指したい」と高みを見た。

近大出身の朝乃山にとって大阪は「第2の故郷」。前日23日には、徳勝龍らOBと同大相撲部を訪れて後輩に胸を出した。稽古場では、初場所中に他界した同部監督の伊東勝人さんの遺影に手を合わせて大関昇進を誓ったばかり。その伊東さんからは、近大時代に「あいつは気持ちが強い。大会前でもガンガン言って大丈夫なタイプ」と精神的強さを評価されていた。その言葉通りに「場所中にプレッシャーは出てくるかもしれないけど、力に変えて期待に応えるだけ」と胸を張った。

角界入りして4年。順調に番付を上げてきたが経験はまだ浅い。初の大関とりに向けて師匠の高砂親方(元大関朝潮)から「右四つの型があるのが朝乃山の強さ。立ち合いから自分の相撲を取れるような厳しい立ち合いができればいい」とアドバイスをもらってうなずいた。

26日から出稽古を行う予定。「自分の右四つに磨きをかけるだけ」と大願成就に向けて、自分の相撲を信じ切る。【佐々木隆史】