1番でも多くの好取組を-。日本相撲協会の審判部は14日目の幕内取組を、13日目の全取組終了後に編成会議を開いて決めた。

通常、翌日の取組は前日午前中の取組編成会議で決めることになっている。ただ昨年から、優勝争いや三賞選考、勝ち越しや負け越しに絡むことなどを考慮し、千秋楽の取組は14日目の全取組終了後に決めることが、ほぼ慣例となっていた。これを今場所は、14日目の取組もギリギリまで優勝争いを見据え、結果が出た時点で取組を編成することになった。

12日目終了時点で単独トップに立っていた平幕下位の碧山(33=春日野)が敗れ、トップは2敗で3人が並び、1差の3敗に3人がつけるという再び大混戦になった。この結果を受けて14日目には、結びの一番は想定通りに横綱鶴竜-関脇朝乃山戦が組まれたが、その一番前は横綱白鵬-碧山の2敗対決が組まれた。番付優先の通常なら白鵬-貴景勝の横綱、大関戦が組まれるが、6勝7敗の貴景勝の不振もあり、優勝争いを優先した格好だ。千秋楽は白鵬-鶴竜戦の横綱対決が確実に組まれると思われる。このため貴景勝は、横綱戦2つのうち白鵬戦が今場所、なくなることが確実となった。

審判部の柔軟ともいえる対応に八角理事長(元横綱北勝海)は「いい取組を作るために審判部がね(考えたこと)。横綱、大関が少ない(3人)ということもある。普通なら横綱、大関陣で優勝争いだから」と、いわゆる「割崩し」に理解を示した。今場所は史上初の無観客開催となっただけに、最後までより優勝争いを面白く-という意図がかいま見える判断だ。