大関とりの関脇朝乃山(26=高砂)が、横綱鶴竜に下手投げで負けて今場所4敗目を喫した。これで大関昇進目安の「三役で3場所33勝」には届かないが、境川審判部長代理(元小結両国)は、これまでの相撲内容を評価。千秋楽で1人大関の貴景勝を破れば、昇進の機運が高まる可能性はある。

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際どい勝負で横綱と互角に戦ったように見える朝乃山だが、まだ相撲に甘さがある。上手を引きつけていない不自由な体勢で攻めたことだ。相撲には十分の上をいく「十二分」という言葉がある。特に横綱戦は120%の感覚で攻めないと勝機はない。10番勝てても11番、12番となるとしんどい。その課題を本人も師匠の自分もしっかり受け止めたい。新三役から3場所目の大関とりだが、そう簡単になれる地位じゃない。本人が「出直しです」と言ったそうだが、その気持ちでいい。対応性とか順応性とか、これから覚えていくものはまだまだある。今が目いっぱいではなく伸びしろがある。課題を1つ1つクリアして、大関という地位を手に入れればいいんだ。自分が口を挟む問題ではないが、仮に千秋楽で勝って昇進できればそれはラッキーなことだが、プラスアルファをみてもらっているということ。成長の時間は十二分にある。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)