横綱白鵬(35=宮城野)が、鶴竜との相星決戦を制し、昨年九州場所以来となる44度目の優勝を飾った。

巻きかえの応酬から最後は差した右のかいなをかえし、力強く寄り切った。「いろいろあって終わったな、と。喜ぶというより、無事に終わってホッとしたのが先ですね」。笑顔はなく、厳しい表情のままだった。

新型コロナウイルスの感染拡大の状況を受け、無観客で開催された。「初日にふたをあけて、想像以上のものがあった」と白鵬。無人の観客席でも15日間、横綱土俵入りで力強い四股を踏んだ。「テレビの前では何千万人の人が見ている。そう意識して1日1日やってきた」と振り返った。

短縮、簡易にされた表彰式。協会あいさつの後、全幕内力士が残ったままで行われた。優勝パレードもない。積み重ねてきた44回の優勝で初めての経験を「大きな財産、経験になってくる」と表現した。

35歳0カ月の優勝は、年6場所の1958年(昭33)以降、3番目の年長記録。横綱で35歳を超えての優勝は、千代の富士しかいない。「あこがれの大横綱ですから。自分が飲みたい、食べたいものを減らしながら、心と体が一致しないと成し遂げられないものですから」。過去に例のない場所を最後は横綱白鵬が締めくくった。