史上初の無観客開催の場所は横綱白鵬(35=宮城野)が、44回目の優勝で締めた。横綱鶴竜との相星決戦を寄り切りで制し、昨年九州場所以来の優勝で最多記録を更新した。

簡略化された表彰式は全幕内力士が参加し、優勝パレードもない。年6場所の1958年(昭33)以降、3番目の年長となる35歳0カ月の優勝にも白鵬に笑顔はなく「喜ぶより無事に終わってホッとした」と本音をもらした。

<「無観客場所」アラカルト>

◆打ち切り背中合わせ 相撲協会員に新型コロナウイルス感染者が出れば即座に中止と決定。力士らは1日2回朝、夜に検温し、37度5分以上の熱が2日続けば休場。前頭千代丸は最高40度の発熱、8日目から3日間休場したがPCR検査は陰性。左下腿(かたい)蜂窩(ほうか)織炎との診断書を提出し、熱が下がった11日目から再出場した。

◆完全無観客 協会員と報道陣、一部の業者以外、会場への出入り禁止。特に土俵周辺や支度部屋への立ち入りは、協会員のみ。報道陣は柵で約2メートルの間隔を空けた新設のミックスゾーンで、力士を取材する。

◆風物詩が激減 開催を告げる触れ太鼓、のぼりは取りやめ。懸賞も昨年春場所と比べて半分近く減少。ファンが力士らの会場への出入りを待つことも禁止。

◆初日&千秋楽 恒例の八角理事長による協会あいさつは、初日が約4分半、千秋楽は3分余りと異例の長さ。十両取組中に行っていた先場所までと異なり、初日は幕内、横綱土俵入り後の取組直前、千秋楽は結びの一番後、ともに幕内全力士が並ぶ異色の形式で実施。千秋楽は外部表彰を断り、場内での優勝力士インタビューも行わなかった。

◆静寂 テレビ、ラジオなどは通常通り生中継。ただし放送席は防音のアクリル板で覆われた。土俵での集中力に影響を与えないよう、通路での出番前力士の四股など準備運動も禁止。

◆外出禁止令 感染防止から協会員は場所前から原則、外出禁止。後援者らとの接触も最小限に抑えるよう通達された。会場への行き来はタクシーか乗用車。