大相撲春場所を11勝4敗で終え、大関昇進を確実にした関脇朝乃山(26=高砂)が千秋楽から一夜明けた23日、大阪市の高砂部屋で会見に臨んだ。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により代表取材となったが、理想の大関像に「真っ向勝負」を掲げた。大関昇進となれば、富山県出身では太刀山(横綱)以来111年ぶりの快挙となる。

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師匠の高砂親方(元大関朝潮)の隣に座った朝乃山は、引き締まった表情で大関像を語った。「いつもと変わらず真っ向勝負の相撲を取っていきたい」。史上初の無観客開催となった春場所で、昇進目安の「三役で3場所33勝」にあと1勝届かず。しかし、誰が相手でも真っ向勝負する姿勢、188センチ、177キロの体を生かした正攻法の右四つが評価された。高砂親方からは「これからは負けることがニュースになる。地位の重さを感じると思う。関脇でも感じるが、その比ではない。そういうことを少しずつ勉強していくことだな」と激励された。

25日に日本相撲協会が開く夏場所(5月10日初日、東京・両国国技館)番付編成会議と臨時理事会で正式に大関昇進が決定する。富山出身では太刀山以来111年ぶりの快挙。富山・呉羽小時代に、その太刀山の遺族が同小学校に寄付した「太刀山道場」で相撲を始めたのが相撲人生の原点。「少しは太刀山さんに近づける1歩を踏み出したという感じ」と照れ笑いした。

横綱戦2連敗を喫した春場所。「まだまだ課題はたくさん。横綱に勝てるようにならないと上の番付は目指せない」。大関昇進にとどまることなく、さらにその上も見据えた。【佐々木隆史】

◆第22代横綱太刀山 富山県出身で1900年(明33)5月場所でデビュー。横綱時代は威力抜群の突きや呼び戻しを武器に56連勝を達成。立ち合いから2発以内に土俵外へ持っていく猛烈な突っ張りは「四十五日」(1突き半=1月半)と評された。幕内勝率は8割7分8厘を誇る。1場所10日制だった当時、優勝9度のうち5度が全勝。