日本相撲協会が大相撲夏場所(5月24日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した27日、3場所連続で東の正位に就いた横綱白鵬(35=宮城野)は報道陣の電話取材に応じ「番付が出たということは素直にうれしい」と率直な思いを話した。

2場所連続45度目の優勝を目指す夏場所は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2週間延期となっている中、白鵬は「全体的に東京がどうなるかというのが、ゴールデンウイーク明けに決まると思う。また1週間なのか2週間なのか、それにも左右されると思う」と開催可否について私見を語った。

協会内でも感染者が出る中で、日々の稽古では感染予防に工夫を凝らしいる。部屋の稽古では換気のため「上から横から扇風機を回して、ドアや窓を全部開けて基本動作をやったりしています」と説明。免疫を下げないために、食事でもサラダを多めに食べてビタミンを摂取。アルコール消毒用のスプレーも常日頃からかばんに入れて持ち歩いているという。「やはり目に見えないもの。世界がコロナを抑えるワクチンがまだないので、気持ち的にかからないように持ち歩いている」と話した。

不安に駆られる状況の中で、かねてから現役続行の目安としていた東京オリンピック(五輪)が21年に延期となったことについては「モチベーションがまた1年伸びた」と前向きにとらえている。18年に亡くなった父ムンフバトさんは、レスリング選手として64年の東京五輪に出場。「64年はおやじが出ていた。本当は今年だったらその目標が早めに達成できたと思うんだけどそれができないのは残念。自分自身がオリンピックを早く見たいというのもあった。でも自分よりオリンピック選手の方が、特にベテラン選手はこの東京オリンピックが最後だという選手もたくさんいたと思う。でも中止ではなく延期ということなので、またオリンピックを狙えるという希望があるので頑張っていくことしかない」。五輪選手と自身を重ねるように、気持ちを高めた。

3日前の25日には高田川親方(元関脇安芸乃島)、十両白鷹山が新型コロナウイルスに感染したことが判明するなど、協会内でも感染が拡大しつつある。感染者について白鵬は「今は悪化させないように、場所までまだ時間がありますから、早く良くなってほしい」と早期の回復へエールを送った。初日まで1カ月弱。「(史上初の無観客開催となった)3月も、1人感染者が出たら中止。目に見えないものだから、祈りながら1日1日15日間戦っていた。もう1回頑張らなきゃと思う」と、気を引き締めた。