大相撲力士の勝武士(しょうぶし)さん(本名・末武清孝=すえたけ・きよたか)が、新型コロナウイルス感染の影響で13日に28歳で亡くなった。勝武士さんと「初っ切り」でコンビを組んでいた元高三郷の和木勝義さん(30)に話を聞いた。【聞き手=佐々木一郎】

-勝武士さんとコンビを組んだ初っ切りは、2014年4月の神奈川・藤沢市巡業から2018年4月の長野・東御市巡業まで続きました。勝武士さんの印象は

和木さん まじめでした。初っ切りも楽しくできました。やりやすかったですね。巡業では稽古もたくさんやりました。稽古後、一緒にトレーニングもしていました。自分が2年兄弟子なので、向こうが合わせてくれたというのもあると思います。

-初っ切りでのアイデアは、どちらが出していたのですか

和木さん お互いにですね。出番前に『合わせ』をやるんですが、『こういうのやってみない?』と言いながら。

-勝武士さんが亡くなり、SNSなどではおふたりの初っ切りが特に印象に残っているという声が多くみられました。なぜだと思いますか

和木さん お客さんが楽しんでくれたからですかね。自分らも楽しんでやっていました。最初はギクシャクしましたが、慣れてからは楽しめるようになりました。

-勝武士さんは大事な相撲の時は緊張すると言っていました。初っ切りを担当すると度胸がつくのでは

和木さん それは、そうでもないんですよ。ある程度はつくけど、僕も緊張しました。初っ切りも大きな会場では『本当に緊張するよね』なんて話していました。

-2人は対戦もありました。最初の対戦(2009年九州場所)では高三郷さんがすくい投げで勝ち、次の対戦(2011年名古屋場所)は高三郷さんがつき膝で負けました。1勝1敗です。

和木さん 2度目の対戦では、僕が気絶させられたんです。自分が胸で当たりにいったところ、向こうの頭があごに入りました。気付いたら倒れていました。

-その取組について2人で話したことはありますか

和木さん あります。向こうもびっくりしたと言っていました。

-今、勝武士さんに伝えたい言葉はありますか

和木さん 1カ月間もよく頑張ったと思います。長いですよね。あとはゆっくり休んでください、と。

和木さんは2018年夏場所後に引退。今は、巡業の会場設営をする会社で働いている。第2の人生で、角界に恩返しすることを考えている。