14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、5年ぶり2度目の優勝を果たした。

関脇御嶽海を寄り切って13勝目。ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。優勝は15年夏場所以来。30場所ぶりの優勝は史上2番目のブランクで、大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降2人目。両膝の負傷や内臓疾患に苦しみ序二段まで番付を落とした男が、大相撲史に残る復活劇を成し遂げた。

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コロナ禍で開催された異例の場所が幕を閉じた。無観客開催の春場所以来、4カ月ぶりに開催した7月場所。日本相撲協会はガイドラインに沿って、観客数の上限を1日約2500人に設定し、来場者にマスク着用や声援自粛を求めた。力士には支度部屋で準備運動をする際にマスクの着用を義務づけ、座る場所もアクリル板で仕切るなどした。千秋楽終了時点で協会員の新型コロナ感染者は0。八角理事長(元横綱北勝海)は「力士も頑張って、協会員も(約束を)守ってくれた。内容は、横綱、大関が休場して申し訳ないが、頑張ってくれた力士がいた。お客さんには本当に拍手(の応援)で後押ししてもらった」などと振り返った。

芝田山広報部長(元横綱大乃国)によると、今場所後には新弟子勧誘や帰省などの外出は師匠の許可次第とする一方、新たなガイドラインを設けて制約を設けるという。また、2週間後には力士全員に、新型コロナの抗体検査を受けさせることも明かした。政府の緊急事態宣言が再び出れば「場所の開催は難しい状況になる」と話し、開催の方向性については「模索」と表現。当面は1場所ごとに開催か否かが最重要事項となる。