千秋楽を前に単独トップに立った関脇正代(28=時津風)の破壊力に、協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)も「馬力勝ちした」と思わずうなった。

1差で追う大関朝乃山(26=高砂)との一番は、はじき飛ばすような立ち合いで大関をのけ反らせ、左にくいつくと上手を結び目あたりに取り、なぎ倒すように押し倒した。

その破壊力に開口一番、八角理事長は「(正代が)馬力勝ちした。ちょっと想像できなかったな…」と重さのある大関を、ここまで圧倒するとは予想できなかった様子。「朝乃山も立ち合いは悪くなかったのに浮いちゃったね」と驚きの様子で話した。立ち合いで圧倒し、さらに前に出る圧力に「押し込んでいるから朝乃山がバランスを崩した。今日は正代を褒めるべきでしょう」と続けた。

にわかに大関昇進の可能性が浮上した。「12勝は立派。ただ横綱2人が休場しているわけだから。ただ出てこないことには仕方ない」と言及は避けたが「でも立派。内容がいいですよ。よく鶴竜とかが出稽古に来てるようだけど、知らず知らずのうちに力がついてきたんじゃないかな」と好成績の要因を推察した。

もう1人の新入幕でトップを並走していた翔猿(28=追手風)は、結びの一番で3敗の大関貴景勝(24=千賀ノ浦)に敗れ3敗に後退。千秋楽の正代との一番は優勝決定戦進出をかけた勝負になる。一歩、後退した新入幕について八角理事長は「新入幕でここまで立派です。何とか、いなしたいと思っても、前に出る力不足で(貴景勝に)見られてしまった。明日は思い切っていくしかないでしょう」と、ねぎらいと期待を込めて話した。