関脇正代(28=時津風)が悲願の初優勝を果たし、大関昇進をほぼ手中に収めた。新入幕で3敗を守る翔猿を下して、自己最多に並ぶ13勝目。熊本県出身の力士として、初の優勝を決めた。打ち出し後、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請した。承認されれば30日の臨時理事会、11月場所の番付編成会議を経て「大関正代」誕生が正式に決定する。

ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。小兵の翔猿に立ち合いのぶちかましが不発で、175センチの低さを生かした突き押しを受けると、いなされて体勢を崩した。最後は両腕で抱えて、土俵際で逆転の突き落としを決めた。13日目は貴景勝の突き押しに全く引かない相撲内容で、14日目は朝乃山を立ち合いで吹っ飛ばし、大関に連勝。文句のつけようがない初優勝だった。

14日目終了時点で優勝の可能性を残していた3敗の貴景勝は、結びで朝乃山との大関対決に勝利して12勝目を挙げた。直前の取組で正代が勝った時点で2度目の優勝は消滅したが、集中力を切らさず大関としては自己最多の白星を挙げた。

翔猿は正代に敗れたものの新入幕ながら11勝を挙げ、敢闘賞を受賞した。取組後は表情に悔しさをにじませたが、小兵力士として場所を最後まで盛り上げた。