関脇正代(28=時津風)がついに賜杯を手にした。新入幕の翔猿に攻められ、追い詰められた土俵際で逆転の突き落としを決めた。

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「気持ちは熱く、頭は冷静に」を正代は実践して賢明な相撲を取った。翔猿をよく見て対応したし、出るところは突いて出た。最後は逆転勝ちのように見えたが、勝負どころで攻めているから呼び込めた勝利だ。正代の優勝は体幹の強さのたまものだ。来場所以降も、この体の強さを常に出せるかが問われるだろう。腰が高いとか、体が反ってアゴが上がるとかを直す必要性はある。逆に自分の強みとして、生かすのもアリだ。ただし、その上=横綱を目指すなら体幹の強さだけでは狙えない。そこをどう考えるかだ。今場所は翔猿や若隆景といった若手が頑張って場所を盛り上げたけど、やっぱり強い横綱や大関がいてこその大相撲だ。その一員に正代が加わる。一年納めの場所は、看板力士の奮起に期待したい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)