大関正代が誕生した。日本相撲協会は9月30日、東京・両国国技館で大相撲11月場所(11月8日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議と臨時理事会を開催し、大相撲秋場所で初優勝を飾った関脇正代(28=時津風)の大関昇進を決めた。新大関は今年3月の朝乃山以来。時津風部屋からは元理事長の豊山以来57年ぶり、熊本県出身では62年7月の栃光以来58年ぶりとなる。

鏡山理事(元関脇多賀竜)と立川審判委員(元関脇土佐ノ海)が使者として東京・墨田区の部屋に出向き、伝達式が行われた。満場一致で大関昇進が決まったことを伝えられ、正代は「謹んでお受けします。大関の名に恥じぬよう、至誠一貫の精神で相撲道にまい進してまいります」と口上を述べた。

「至誠一貫」は「後援者に勧められた」と明かし、「調べたらいい意味。使わせてくださいと言った」。中国の儒学者、孟子の言葉で「最後まで誠意を貫き通す」の意。正代は「相撲道に誠実で貫き通す思いで決めました」と明かした。

心境を「とりあえずホッとしてます。じわじわ緊張感あって、眠りも浅かった。(口上は)かまずに止まらずに言えたんでまずまずです」と話した。新大関として「今まで以上に負けられない地位。いろいろ責任が伴う地位なんで、精進していけたら」と決意を語った。

正代は熊本農高で国体優勝、東農大で2年時に学生横綱とアマチュアで実績を積み、14年春場所で初土俵を踏んだ。各段で優勝を重ねて16年初場所新入幕。1年後の17年初場所で関脇に昇進と順調に出世の階段を駆け上がったが、そこから壁に阻まれた。

今年は初場所で優勝次点の13勝をあげた。関脇に復帰した春場所では8勝7敗とかろうじて勝ち越しも、7月場所も優勝争いに絡む11勝。そして秋場所は13勝2敗の好成績で熊本出身力士で初となる優勝を飾った。

しこ名については「珍しい名字。変えるつもりはないです」。輪島、北尾(のち横綱双羽黒)、出島、高安に続く本名大関。大相撲11月場所(11月8日初日、東京・両国国技館)は貴景勝、朝乃山と3大関時代を迎える。

◆正代直也(しょうだい・なおや)1991年(平3)11月5日、熊本県宇土市生まれ。小学1年から相撲を始め、熊本農3年時に国体優勝。東農大に進み、2年時に学生横綱も卒業を優先してプロ入りせず、14年春場所に前相撲で初土俵。序ノ口、幕下、十両で優勝し16年初場所新入幕。184センチ、170キロ。得意は右四つ、寄り。